专利摘要:
本発明は炎症の治療または予防のためのACE2に関する。なし
公开号:JP2011505842A
申请号:JP2010538266
申请日:2008-12-18
公开日:2011-03-03
发明作者:シュースター,マンフレート;ロイブナー,ハンス
申请人:アペイロン バイオロジックス アーゲー;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 本発明は炎症性疾患の治療の分野に関する。]
背景技術

[0002] 炎症反応は、防御細胞が感染源に向かっていき、そこで原因の除去を保証する過程である。この過程で様々な中間物質が放出され、これらの中間物質は除去に寄与するが、炎症症状も生じる。反応の調節不全の場合はこの症状が重大な障害を引き起こし、または一般に疾病の発生源となる(例えばアレルギーの場合)。急性炎症(例えば敗血症)と潜在性慢性炎症(例えばリウマチ)とを区別することもできる。例えば臓器移植の場合、炎症が人為的に引き起こされることもあり、結局それが外来性の臓器に対する拒絶反応を招くことになる。炎症が特定の薬物により副作用として引き起こされることもある。]
[0003] これらのすべての状態で、免疫反応の人為的調節は根本的な治療または単に症状の鎮静のために有意義である。]
[0004] 炎症の際に一連のサイトカインが免疫反応の進行に決定的に寄与する。活性化したCD4 T細胞は、CD8 T細胞およびB細胞の活性化のために重要なインターロイキン−2を産生する。さらにCD4 T細胞はその他のサイトカイン、例えばマクロファージ活性を強化するIFN−γを産生する。TNF−αは種々の免疫細胞の活性を調節し、細胞死、細胞増殖、細胞分化および他のサイトカインの放出を励起することができる。特にTNF−αは発熱のような症状に寄与する。]
発明が解決しようとする課題

[0005] 本発明の目標は、特に炎症(Entzuendungen)の治療のための免疫系の調節因子を提供することである。]
課題を解決するための手段

[0006] そこで本発明は、炎症(または炎症性疾患)の治療または予防のためのタンパク質または該タンパク質をコードする核酸に関する。この場合、タンパク質はACE2である。また本発明は、炎症の治療または予防のための医薬組成物の製造のためのACE2タンパク質またはACE2コード核酸の使用に関する。同じく患者の免疫調節、例えば炎症の治療または予防のためのACE2タンパク質またはACE2コード核酸の使用が取り上げられる。]
図面の簡単な説明

[0007] ACE2治療による機能性RASの回復の概略図である。赤(+)矢印は過度の免疫活性の効果を表し、青(−)矢印はACE2治療に基づく変化を示す。
10ng/mlのIL−4(A)、IFN−γ(B)またはTNF−α(C)で48時間インキュベーションした後のVero E6細胞調製物のACE2特異的FACS(蛍光表示式細胞分取器)分析(中央にピークがある曲線)と無刺激の対照群(右側にピークがある赤い曲線)および対照系列(左側にピークがある黒い曲線)との比較を表す図である。
LPS、PHAおよびLPS+PHAによる刺激の16時間後のPBMC培養上清中のTNF−αの測定を表す図である。ACE2なし(黒いバー、左側)またはACE2あり(灰色のバー、中央)またはACE2とAngIIあり(青いバー、右側)。
ブタのLPS誘導敗血症モデルで測定されたAngII濃度を表す図である。青い曲線:APN 01(rACE2)で処置した動物、灰色の曲線:プラセボで処置した動物、灰色の曲線(黒い点):APN 01投与後の健常動物。
マウス、ブタおよびアカゲザルで測定されたACE2活性を表す図である。
ブタのLPS誘導敗血症モデルでのTNF−α血清濃度を表す図である。ACE2処置動物を青、プラセボ処置動物を灰色で示す。TNF−α濃度は処置開始時のそれぞれの出発値(100%)に対して標準化してある。
ブタの胎便吸引誘導ARDS(急性呼吸窮迫症候群)モデルでのTNF−α血清濃度を表す図である。ACE2処置動物を青で、プラセボ処置動物を灰色で示した。]
[0008] アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)は膜結合糖タンパク質として様々な臓器、例えば心臓、腎臓、肝臓および肺、さらには血管に発現されるレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の必須酵素である。]
[0009] ACE2は1997年にACE相同酵素として発見された(GenBank登録番号:BAB40370、GenBank登録番号:AB046569の配列を有する核酸によりコードされる)。当初はこれにACEと同じ酵素活性があるとされた(米国特許US6,989,363)。後になって初めてACE2がACEとまったく別の作用メカニズム、むしろ拮抗的な機能を有することが発見された(国際公開WO2004/000367)。ACE2は多数のペプチド基質を著しく異なる選択性と活性で分解するカルボキシペプチダーゼである。ACE2はSARSコロナウイルスの細胞性結合パートナーでもある。従ってウイルス受容体をブロックするためのACE2のダウンレギュレーションまたはACE2の投与は、ACE2提示細胞の感受性を減少させることができる(国際公開WO2006/122819、Langら、Virology(2006)353(2):474、抄録)。ACE2に対する上記の機能はとりわけAngIIからAng1−7への変換であり、その場合、この反応の基質と生成物は拮抗的性質を有する。AngIIは基本的に血管収縮および血圧上昇の作用がある。Ang1−7は血管拡張の作用があり、腎臓、肺臓および心臓疾患で保護効果を有する(国際公開WO2004/000367)。]
[0010] さらに、ACE2生成物であるAng1−7は、ACE、すなわちAngIIの産生に決定的に関与する酵素を阻害する。ACE2の発現は様々な刺激により制御される。ところがACE2は炎症性サイトカイン、例えばTNF−α、IFN−γまたはIL−4の出現によってダウンレギュレーションされ、その結果様々な疾病、対応する区画のAngIIの蓄積および開始された免疫応答の増強をもたらすことが発見された。サイトカインは基本的に免疫系の種々の細胞種の連絡に利用される。通常、発生期炎症の第1段階の1つは、抗原物質が抗原提示細胞(APC)によって受容され、異物として区分されることにある。その結果、当該APCによる炎症性サイトカインの最初の排除が起こる。APCはこうして免疫系のその他の細胞に警告する。この機構は、免疫応答が実際に適正であるときだけこれを開始し、抗原物質が中和されたときは、これを再び遮断するように、非常によく調節され、制御されている。ところがこの開始された免疫応答が制御を失い、自分の生体を標的にするということが起こることがある。例えば種々の腎臓、心臓および肺疾患でAngIIの蓄積は進行性の炎症や対応する組織への免疫系細胞の浸潤の昂進、その結果免疫応答の過剰を引き起こす。一例が敗血症である。その場合、非常に多量の炎症性サイトカインが放出され、全身に過度の免疫応答が開始され、ほとんどすべての臓器の重大な障害をもたらす。自己免疫性疾患のアレルギー性追発または突発が治療または予防されることもある。ところがこの場合、キーポジションは常に刺激に対する反応としての細胞免疫応答である。細胞免疫応答は増強される増幅カスケードで異物を中和するという基本目的をはるかに超過遂行し、その結果生体を損傷する。]
[0011] 初期の免疫応答の第1段階はサイトカインの形の炎症シグナルの送出である。その主要な代表が例えばIL−4、IFN−γまたはTNF−αである。免疫細胞を刺激した後にこのサイトカイン発現を抑制しまたは弱める性質を有する物質は、過度の免疫応答を減衰するのに役立つ治療薬である。細胞レベルでの炎症性サイトカインの存在下で、ACE2発現は著しく減少し、その結果とりわけAngIIの蓄積とAng1−7の減少により、またこのためAngII新生の抑制が起こらないことにより、炎症の増強が生じる(図1)。こうして著しく増加するAngII濃度はAngIIの強い炎症性に基づき炎症の一層の増強を促し、その結果ACE2発現のさらに顕著な減衰をもたらす。この悪循環をのがれるために、本発明に基づきACE2が治療薬として投与され、こうしてAngIIの蓄積が予防され、それとともに炎症が抑制される。すなわちACE2は高いAngII力価を直接的に低下させ、AngIIにより絶えず昂進する炎症を弱める。Ang1−7が産生され、その抗炎症作用によって同じく炎症を弱める。さらにAng1−7はACEを阻害する性質によって、続くAngIIの産生を制限する。炎症の鎮静は、放出されたサイトカインを正常レベルに戻し、再び内因性ACE2発現を生じさせ、この内因性ACE2発現は持続的にAngIIを分解し、Ang1−7を発生させ、再び安定した機能的RAS(レニン・アンギオテンシン系)をもたらす。その結果再びRASの作用成分の自己調節的な安定した平衡が現れる。こうして免疫系の原初的刺激が中和されたならば、再度のACE2投与を完全に省略することができる。上記のメカニズムの概略図を図1に示す。ACE2の投与によって、増強する炎症からの脱出路が作り出される。] 図1
[0012] 好ましくは炎症は組織または器官の局所的炎症および/または全身的炎症である。また一般的メカニズムに基づき、慢性および急性炎症の治療が可能である。特に炎症はリウマチ、敗血症、関節炎、リウマチ様全身性エリテマトーデスまたは強皮症を包含する。それらは機械的もしくは化学的細胞損傷または組織損傷あるいは創傷、特に病原体、例えばウイルス、細菌または真菌の感染、臓器移植を含む移植物ならびに薬物によって引き起こされる。]
[0013] また炎症は自己免疫性疾患も包含する。この疾患は例えば抗糸球体基底膜病、神経系の自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、IgA糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、ランバート・イートン筋無力症候群、特発性紫斑病、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、疱疹性デューリング皮膚炎、膜性糸球体腎炎、グレーヴス病、交感性眼炎、多腺性自己免疫症候群、多発性硬化症および/またはライター病に特徴的である。]
[0014] 好ましくはACE2はACE2タンパク質、特に組換えACE2として使用される。ACE2配列はよく知られており、ACE2をコードする適当なベクターを発現系、特に真核生物発現系に導入することによって問題なく産生させることができる。このような系は例えば哺乳動物細胞株、例えばCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞およびNSOマウス細胞または昆虫細胞、例えばSf9である。発現のためにこのようなベクターは特定の細胞特異的または一般的プロモーターを有することができる。]
[0015] タンパク質(ACE2コード核酸も含めて)は特に膜ドメインのない水溶性ACE2であることが好ましい。ヒトACE2配列は配列番号1によって示される。すなわち:

その場合オートロガス・シグナル配列(下線を付す)は宿主細胞によって除去のために切断される。従って本発明に基づくACE2タンパク質は配列番号1の18位以下に相当するACE2配列を含むことが好ましい。別の実施形態ではACE2ポリペプチドは膜貫通ドメインを持たない。この膜貫通ドメインは配列番号1のC末端にある。従ってその場合は可溶性ACE2となる。特に好ましい実施形態は、アミノ酸からなるポリペプチド鎖がアミノ酸740位に至るまでの配列番号1を含む可溶性ACE2ポリペプチドまたはその酵素活性フラグメントを包含する。別の可溶性ACE2タンパク質は配列番号1のアミノ酸18〜615からなる。]
[0016] タンパク質の可溶性はそのアミノ酸配列だけでなく、そのフォールディングおよび翻訳後修飾によっても決まる。それはとりわけ荷電した糖構造であって、タンパク質の可溶性を決定的に高め、その薬理的特性に影響する。ACE2の可溶性断片は7つのN−グリコシル化部位を含む。可能なN−グリコシル化部位の少なくとも80%がグリコシル化され、かつ/またはACE2タンパク質が10%以上(全ACE2の重量%)または11%、12%、13%、14%、好ましくは15%以上または16%、17%、18%、19%、特に20%以上または21%、22%、23%、24%または25%の糖分を有することが好ましい。]
[0017] たいていの実施形態に対してヒトACE2が好ましいが、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、霊長類またはウシのACE2も可能である。ACE2は同じ基質AngIIを有するすべての哺乳動物に普遍的な酵素である。従って異種生物にも使用できる。そこで本発明に基づくタンパク質(またはその核酸)によって、ACE2の供給源に関係なく例えばヒト、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、霊長類またはウシを治療することができる。]
[0018] 本発明に基づき、ACE2タンパク質またはACE2コード核酸を含む医薬組成物を提供することができる。このような組成物は製薬上好適なその塩、さらに緩衝剤、張性成分または製薬上好適なビヒクルを含むことができる。特にACE2核酸を適当な治療用ベクター系に設けることができる。製薬用ビヒクルは組成物の優れた適合性のために役立ち、作用物質の良好な溶解性および良好なバイオアベイラビリティーを可能にする。その例は乳化剤、増粘剤、酸化還元成分、デンプン、アルコール溶液、ポリエチレングリコールまたは脂質である。適当な製薬用ビヒクルの選択は投与の仕方に大いに左右される。経口投与には液体または固体ビヒクルを使用することができ、注射には液体の最終組成物が必要である。]
[0019] 本発明に基づき使用される薬物は、緩衝物質または張性物質を含むことが好ましい。緩衝物質によって薬物のpH値を生理的条件に合わせて調整し、さらにpHの変動を弱めまたは緩衝することができる。その一例はリン酸緩衝剤である。張性物質は容量オスモル濃度の調整に役立ち、イオン性物質、例えば無機塩、例えばNaClまたは非イオン性物質、例えばグリセリンまたは炭水化物を包含することができる。]
[0020] 本発明に基づき使用される組成物は、全身的、局所的、経口的または鼻腔内投与に適合するように調整することが好ましい。本発明の薬物のこれらの投与形態は迅速かつ簡単な吸収を可能にする。経口投与のために例えば固体または液体の薬物を直接に、または溶解もしくは希釈して服用することができる。]
[0021] 本発明に基づき使用される薬物は、静脈内、動脈内、筋肉内、脈管内、腹腔内または皮下投与に適合するように調製することが好ましい。このために例えば注射または輸液が適している。血管への直接投与は、薬物の作用物質が全身に配分され、標的組織に急速に到達する利点がある。]
[0022] 本発明を下記の図および実施例により説明する。但しこれに限定されるものではない。]
[0023] 実施例1:炎症性サイトカインの存在下でのACE2発現の欠失
腎細胞株(Ceropithecus aethiops)Vero E6は通常の培養条件でACE2を膜結合糖タンパク質として発現する。Vero E6細胞を10ng/mlのIL−4、IFN−γまたはTNF−αと共に48時間インキュベートし、ポリクローナルACE2特異的ヤギ抗体およびヤギ特異的FITC標識抗体を使用して、ACE2表面発現に関する変化をFACS分析により分析した。図2にそれぞれのヒストグラムを示す。当該分析を表1にまとめた。IL−4、IFN−γまたはTNF−αと共にインキュベートすることによって、ACE2発現が著しく低減された。無刺激の細胞で51±3%のACE2陽性が測定されたが、IL−4、INF−γおよびTNF−α刺激の後にこれがそれぞれ28±2、22±1および39±2%に低下した(図2)。] 図2
[0024] 実施例2:PBMCの免疫活性の減衰
本実施例では、刺激したPBMC(末梢血単核細胞)のサイトカイン発現に対するACE2の効果を説明する。種々のリンパ球の協動を可能にするために、PBMC調製物およびドナーの全リンパ球スペクトルをバッチに使用した。健康なドナーから全血を採取し、それに含まれるPBMCを遠心して分離した。続いてこの細胞をAngII、ACE2およびACE2とAngIIの存在下で強力な免疫原性物質、例えばリポ多糖(LPS、100ng/ml)および植物性血球凝集素(PHA、20μg/ml)ならびに両物質の組合せを用いて刺激し、37℃で16時間インキュベートした。上清をTNF−αについて調べ、ACE2およびRASのペプチドの不在で処理した対照バッチと比較した。この試験の結果を図3にグラフで示す。すなわちLPSおよびPHAとのインキュベーションはすべての場合にTNF−αの分泌を誘導する。ACE2なしで共インキュベートしたそれぞれの対照バッチは、それぞれLPS、PHAおよび組み合わせの刺激の後に極めて高いTNF−α濃度(203、352および278mOD)を示した。ACE2の存在下ですべてのグループで測定されたシグナルは著しく小さく、各グループで181、266、223のmOD値に達したにすぎない。ところがACE2とAngIIの存在下では、測定されたTNF−α濃度はきわめて小さく、mOD144、247および183にしか達しなかった。これらの結果が示すところでは、刺激のために特に免疫原性の物質、例えばLPSまたはPHAを使用しても、ACE2の存在は炎症性サイトカインの著しく弱められた産生をもたらす。このことはACE2の抗炎症効果を実証する。意外なことにこのメカニズムはAngIIの存在なしでも機能し、その存在のもとで強化される。このことは二重因子を示唆する。効果の一部分はAngIIおよびその分解産物Ang1−7によってもたらされ、その他の部分は明らかに他のACE2基質の分解によって機能し、現存するAngIIに関係がない(図3)。] 図3
[0025] 実施例3:健康な生体のAngII力価の回復
本実施例では、外因性ACE2の投与がいかにして脱調節RASを再び制御下に置くかを示した。そのためにAPN01(組換え可溶性ヒトACE2)をLPS投与により誘導された敗血症モデルに投与した。−120分の時点から動物に連続的にLPSを輸液した。このため広範囲な炎症が、その結果敗血症が生じた。炎症性サイトカインの大量な放出に基づきACE2発現の遮断が起こり、その結果炎症性ペプチドAngIIの蓄積が生じた(図4を参照)。] 図4
[0026] 0分の時点からAPN01を400μg/kgの用量で静脈内ボーラスとして投与した。処置したグループで直ちにAngIIの減少が起こり、AngII力価はそれに続く一時間の間に、健康な動物で測定されたのと同じレベルに再び納まった。さらに健康な動物での同じ用量のAPN01の投与はAngII力価の短時間の低下をもたらしたが、それもまたその後の1時間の後に再び健康な動物の値に近づいた。これに対して、プラセボで処置した動物は実験の終りに至るまで一層上昇したAngII値を示した。この驚くべき現象はアップレギュレーションされたRASの回復によってしか説明することができない。実験の終りに至るまで依然として活性酵素が動物に全身的に供給されたからである(図5を参照)。約8時間の半減期が測定された。] 図5
[0027] 実施例4:敗血症での炎症性サイトカインの発現の減衰
以下の実施例では、ブタの敗血症モデルで炎症性サイトカインの濃度が急激に増加し、ACE2投与の後に再び健康な動物のレベルに戻ることを示す。−120分の時点から動物に高用量のLPSを連続的に輸液した。このため広範囲な炎症と、その結果敗血症が生じた。炎症性サイトカインの大量な放出に基づきACE2発現の遮断が起こった。その結果、炎症性ペプチドAngIIだけでなく、炎症性サイトカインTNF−αの蓄積が生じた(図6)。0分の時点から動物(処置群6頭、対照群5頭)に0.4mg/kgの用量のACE2または緩衝溶液を静脈内ボーラスとして投与した。LPSを引き続き同じ高用量で連続的に投与する一方で、動物をその後の3時間にわたり観察し、血清試料を採取し、TNF−αについて分析した。対照群のTNF−α濃度は実験の終りまで引き続き高かったが、ACE2で処置した群では、連続的LPS投与を伴う1回のACE2投与の後ですでにTNF−α濃度の著しい低下(p<0.001)が起こることを示すことができた。広範囲な敗血症にかかわらず、健康な動物で測定されたのとほぼ同じ値に再び到達した。従って、ACE2投与によって、非常に侵襲的な敗血症モデルでもTNF−α発現を急速に健常者のレベルに低下させ、引き続き増強する炎症を停止することができた(図6)。] 図6
[0028] 実施例5:局所的機械的肺障害の後のすべての炎症性サイトカインの発現の減衰
本実施例では、ブタの肺障害モデルでの炎症性サイトカインの発現に対する全身的に投与したACE2の影響を示した。このプラセボ対照盲検試験では、14頭の動物について検討した。すべての動物に実験の第1段階で20%胎便溶液の3回の吸引を施し、その際高い血行動態パラメーターに基づきすべての動物に同等な障害が誘導された。実験の第2段階、すなわち処置段階で動物の半数に組換え可溶性ヒトACE2を0.4mg/kgの用量でボーラスとして静脈内投与した。他方の半数には生理食塩液を与えた。−30、0、30、60、90および150分の時点で血清試料を採取し、この試料で最重要の炎症性サイトカインを測定した。この場合、時点0は処置の開始点であり、この時すべての動物はすでにARDS(急性呼吸窮迫性症候群)の症状を示していた。図7から明らかなように、TNF−αの血清濃度に対するACE2投与の非常に明瞭な影響を示す。これはプラセボ群で230ng/ml超と大幅に上昇するが、処置群では投与の後30分以内に40ng/mlに低下し、投与後90分で25ng/mlに近づく。] 図7
実施例

[0029] 実施例6:考察
上記のデータから、免疫調整剤としてのACE2の効果を次のように推論することができる。抗原刺激に基づき炎症性サイトカインの放出が起こる。炎症性サイトカインの存在下でACE2発現の欠失が生じる。ACE2が不在であれば、前炎症性ペプチド、AngIIはACE2によって分解されないために蓄積する。ACE2が不在であれば、同じく前炎症性サイトカインTNF−αが蓄積する。ACE2は抗炎症性を有し、リンパ球で炎症性サイトカインの発現を減少する。従って治療のためのACE2投与は失われた内因性ACE2発現を補償し、AngII力価の低下、Ang1−7の形成およびその他の効果による初期の炎症を阻止することができる。治療のためのACE2投与は重症敗血症の場合でも連続的LPS輸液のもとでAngII力価を再び健常者のレベルに引き下げ、それに応じてRASの調節を再び回復することを可能にする。また治療のためのACE2投与は重症敗血症の場合に連続的LPS輸液のもとでTNF−α力価を再び健常者のレベルに引き下げることを可能にする。胎便吸引による広範囲な機械的肺障害の場合も同じ効果を観察することができた。]
权利要求:

請求項1
炎症の治療または予防のためのACE2または該タンパク質をコードするACE2コード核酸。
請求項2
炎症が組織もしくは器官の局所的炎症および/または全身的炎症である、請求項1に記載のACE2またはACE2コード核酸。
請求項3
炎症が敗血症を含む、請求項1または2に記載のACE2またはACE2コード核酸。
請求項4
炎症が自己免疫性疾患を含む、請求項1または2に記載のACE2またはACE2コード核酸。
請求項5
炎症が感染によって引き起こされるものである、請求項1または2に記載のACE2またはACE2コード核酸。
請求項6
タンパク質が組換えACE2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のACE2またはACE2コード核酸。
請求項7
タンパク質が特に膜ドメインのない水溶性ACE2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のACE2またはACE2コード核酸。
請求項8
タンパク質ACE2が哺乳動物、好ましくはヒト、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、霊長類またはウシに由来するものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のACE2またはACE2コード核酸。
請求項9
炎症の治療のための医薬組成物の製造のためのACE2またはACE2コード核酸の使用。
請求項10
炎症およびACE2ならびにそのコード核酸が、請求項2〜8のいずれか1項に記載のものである、請求項10に記載の使用。
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引用文献:
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